レポート

~第6回食育シンポジウムレポート~


 平成24年3月3日(土)、月島社会教育会館(東京都中央区)にて、当団体が主催する第6回食育シンポジウムが開催されました。当日は、200名を超える熱心な参加者で会場は大盛況となり、今回で6回目をむかえる食育コンテスト「いただきます ごちそうさま」の表彰式に引き続き、入賞園の事例発表や千葉大学教授である明石要一先生のご講演がありました。その様子をレポートいたします。

会場風景


講評

厚生労働大臣賞

おいしく 楽しく そして仲良く
子ども一人ひとりが自然に興味を持ち、子どもの発達段階に合わせて楽しもう
(社会福祉法人 太陽会 あおぞら保育園)
厚生労働省雇用均等・児童家庭局 母子保健課 栄養専門官 芳賀 めぐみ様
芳賀様

 日々の保育の中で、未満児の「食べる力」の特徴をきめ細かくとらえた食育の取り組みが進められています。特に、子どもの発達段階に応じた食にかかわる営みが、異年齢児交流を中心に子どもたちが主体となっておこなわれており、自分で進んで食べようとする姿や食を通した人とのかかわり合いにつなげようとしている取り組みの姿勢がすばらしい内容ということで評価させていただきました。また、地域の特性を生かした生産者との交流、さらには、家庭とのつながりを大切にした交流もおこなわれておりました。

 今後もですね、子どもたちが生活とあそびの中で食にかかわる体験ができ、食べることを楽しむ子どもに成長していくよう、一人ひとりの子どもの発達・発育に応じた食育の取り組みを家庭と地域と連携しながら推進されることを期待しています。
本日は本当におめでとうございました。

全体講評

財団法人こども未来財団・月刊誌『こどもの栄養』編集担当・管理栄養士
岡林一枝 先生
岡林先生  審査委員長であります吉田先生が本日出席できないため、代わりに岡林が話させていただきます。食育コンテスト「いただきます ごちそうさま」が始まりまして、今回で6回目をむかえることができました。今回もたくさんの応募があり、そのうちの40%が過去に応募された方が再チャレンジという形で応募してくださっています。今回入賞されたみなさん、本当におめでとうございます。

 先ほど、厚生労働省の芳賀様からもお話がありましたように、子どもたちをしっかりと見ている先生の目が、きちっとした報告書を作ってくださっていると思います。回数を重ねるたびに、たいへん食育の内容が充実してきております。特に今回は、活動の報告というだけでなく、私たちがいつの間にか読まされていたというふうに、物語のように綴ってくださっている例がたくさんありました。「子どもたちのわくわくどきどきを、どうぞレポートに」という形でキャッチフレーズを組んでいたのですが、私たち審査委員は、その活動報告を読む中で、本当にわくわくどきどきさせていただきました。今回入賞された方々の特徴というのは、子どもたちに「なぜ? どうして?」という気持ちを起こさせる、毎日の生活の保育の中から、保育者がその「なぜ? どうして?」を逃さずにきちんと受け止めて、一緒に「どうしてかしら?」という形で付き添って活動されているところにたいへん興味があり、また、その終わりのところにいろいろなその結果がでていたというところでございます。

 子どもたちの周りには、毎日の生活の中に不思議というのがいっぱいありまして、その不思議を保育者たち、大人が一生懸命つき合っているというところがたくさんあり、そういうところを丁寧に活動報告してくださったのが、私たちにわくわくどきどきと読ませていただくことになったのではないかと思います。

 今回応募作品を、入選・違う作品とより分けるのに、たいへん苦労いたしました。今回選に入らなかった方々がこちらにいらっしゃっているかもしれませんが、その活動が決して劣っているわけではなく、それよりもまだよい活動があったと思って、また次回の挑戦につなげていただけたらと思います。

岡林先生  平成23年度、第2次食育推進基本計画に入りました。そのコンセプトは、「周知から実践へ」です。そのような中で、幼稚園や保育所でおこなわれる乳幼児期の食育の実践活動が、地域の人々にも協力いただきながら、広くつながりながら地域の特徴やよさを生かした活動となってきているというのが、今回の入選した活動には、それを読むことができました。それは、たいへん喜ばしいことではないかと思っております。

 東日本大震災、まもなく一年になります。選にはもれましたが、被災地からの応募もありました。しかしながら、その保育園の活動を読ませていただきましたところ、復旧・復興にきちんと歩み出して、子どもたちを核にして家庭を核にして、そこから地域に広がるという活動を読むことができましたので、とても期待をしたいと思います。

 この震災で私たちは、今までの当たり前の生活を改めて考え直す機会を与えられました。日本中の人々が、人とのつながりが大切であるということを実感しました。第二次食育推進基本計画のコンセプトである「実践」というのは、この人と人とのつながりというのがたいへん重要なキーワードではないかと思います。幼稚園・保育所が核になり、食育活動を通じて家庭・地域につながり、子どもたちに「生きる力」をはぐくんでほしいと思っております。

 今回入選されたみなさま、本当におめでとうございます。また、本日お集まりいただいた方、これから、入選園の発表やシンポジウムを聞いていただきますけれども、きっとたくさんのことを得ていってくださると思います。それを今後の食育活動につなげていただければと思います。 ありがとうございました。

入賞園の事例発表

厚生労働大臣賞 おぼこ(子ども)先生、大活躍!

「おいしく 楽しく そして仲良く
子ども一人ひとりが自然に興味を持ち、子どもの発達段階に合わせて楽しもう」
社会福祉法人 太陽会 あおぞら保育園

 0・1・2歳児の小さな保育園では、「おぼこ先生」が食育の先生。食を通した子どもたちのかかわりあいが、子どもたちの体と心をはぐくみます。


講評

聖徳大学児童学部児童学科前教授・臨床心理士
室田洋子 先生

 わくわくして拝見させていただきました、なによりもいいなと思ったのは、リーダーをおぼこ先生にした点。大人は、大人が言うことを子どもにさせよう、身につけさせよう、発達させようという大人の視点から、子どもに与えるという姿勢をとりやすいのですが、あおぞら保育園の先生方は、子どもを主体として、子どもの目線から子どもの動きにやわらかに目線を添えることをずっと一貫してなさっていらっしゃる活動から、子どもの立場に立ってうれしく思いました。


 

優秀賞 じゃがいも畑の物語

「じゃがいも苗植えから収穫・調理まで」
中央区立 月島第一幼稚園

 じゃがいもの栽培をそれだけで終わらせない、保育者のアイデアとパワーがあふれる活動。そして、その活動を支えているのは地域の方や保護者の力。クライマックスのカレーパーティーにむけて、子どもたちは、わくわくする体験を積み重ねます。


講評

財団法人こども未来財団・月刊誌『こどもの栄養』編集担当・管理栄養士
岡林一枝 先生

 このたびはおめでとうございます。まず、レポートを見たときに「えっ、月島でじゃがいもばたけ?」とちょっとびっくりしました。月島といえばみなさんもご存知のもんじゃで有名な住宅街といいますか、昔からのまちですけれども、そんなところでこんなにりっぱな畑があって、そこでじゃがいもを育てたというところにたいへんびっくりいたしました。


 

優秀賞 子どもと一緒に命について考えた

「アイガモと共に育つ」
社会福祉法人 恵和会 めぐみ保育園

 アイガモ農法での米作り。米作りが終わったらアイガモを食べるべきか食べないべきか……、保育者たちは葛藤します。そして、いよいよ鴨カレーを食べることになった収穫祭。アイガモはどうなってしまったのでしょうか?「いのちをいただく」というテーマについて考えさせられる実践です。
審査委員の島本先生の講評の中での、発表者の先生とのやり取りからも、保育者の葛藤がリアルに伝わってきます。


講評

八王子市立長房西保育園園長
島本一男 先生

 受賞おめでとうございます。この実践を読ませていただいたとき、ほんとうに、きょうもそうなんですけれど、ずっとどきどきしていて、合鴨はどうなってしまうんだろうなと。今日、保育士さんに聞いてみようと思っていました。ほんとうにいなくなってしまったのですか?


 

集合写真

 
特別講演「栄養格差が人生を決める!?」

 

『第6回食育コンテスト活動事例集』には、これらの事例発表園を含む入賞園の応募レポートがそのままの形で掲載されています。